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最終日です!

 

朝8時に香川を出発して、徳島県にある「大塚国際美術館」に向かいました。

 

1時間ほどで到着し、巨大な建物に圧倒されつつバスを降りました。

 

 

 

大塚国際美術館は、大塚製薬によって作られた美術館です。

 

大塚製薬グループが創立75周年を記念して鳴門市に設立した、延床面積29,412㎡の日本最大の常設展示スペースを持つ美術館です。

 

鳴門海峡の砂を使って作られた写真陶板(陶器の板)によって作られた原寸大の世界の名画が1000余点展示されています。

 

写真技術による精度の高い複製でした。

凹凸のある絵画は凹凸までも再現されていて、作品に触れる事もできました。

 

陶板というものは、約2000年以上にわたって変色することなく保存できる技術です。

 

元来のオリジナル作品は、時を経るにつれて変色したり劣化するものなので、陶板名画を収めたこの美術館は、世界の名画を保存している美術館とも言えるそうです。

 

館内は撮影OKだったので写真を撮ることができました。

 

 

たまたま美術館に茨城大学の情報文化課程出身の女性の方がおり、たくさんのことを説明しながら館内を案内してくださいました。

 

とても気さくな方で話が面白く、陶板についてや作品について、細かくわかりやすく教えてくださいました。

 

 

絵画の額縁も再現しているだけでなく、聖堂の壁画を、四方の壁と天井と空間まるごと再現しているスペースもありました。

 

システィーナ礼拝堂を再現しているホールは、規模が大きくて圧巻でした。

「ミケランジェロはこんなに高い天井の壁画を500年も前に、ほぼ一人でたった4年で描きあげたのか」と、足場を組んだ上にたった一人で横になって作業することを考えると、高さへの恐怖とあんなに大きい天井に一人で絵を描くなんて無謀すぎる!と背筋が凍る思いでした。

 

祭壇画(部屋に入って正面に見える絵)は、近くで見てみると、描かれている人の大きさが生身の人間の大きさと変わらなくて迫力がありました。

 

壁画はフレスコ画という技法で描かれるということは知っていましたが、それがどういったものなのかというのは、恥ずかしながらここで聞いた解説で初めて知りました。

 

壁に塗った漆喰が乾く前に、顔料で壁自体を着色するのがフレスコ画なのだそうです。

漆喰が乾く前に描かなければならず、手早い作業が求められ、描き直しをするには漆喰を剥がさなければならないそうです。

 

ちなみに、横綱白鵬はこの美術館のこのホールで結婚式を上げたそうです。ミュージアムショップの脇の通路に写真が飾ってありました。お越しの際は探してみてください。

 

 

 

カフェの窓からは外に輪状の池が見え、池には色とりどりな睡蓮が咲き、その中心部にモネの大睡蓮が展示されていました。

 

楕円形のスペースの真ん中に椅子がたくさん置かれていて、椅子に座って見ると、360°ぐるっとモネの絵に囲まれて、地中美術館で見たのとはまた違う気分でモネの睡蓮の絵を見ることができました。

 

元々この絵は、自然光の下で見ることを望まれた絵だったのだそうです。

 

しかし絵画は、自然光や蛍光灯の下に晒され続けると退色や劣化が進んでしまうので、屋外での展示は、写真陶板という技術により叶えられたことなのだそうです。

 

睡蓮が咲く池と共にこの美術館で必見な絵です。

 

 

 

レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」が、修復前と修復後の2枚を向い合せに展示された部屋がありました。

 

左の画像で言うと上が修復後です。

 

そこでは、「最後の晩餐」は壁画にもかかわらずテンペラ画の技法で描かれた作品だということを聞きました。

 

 

レオナルドは、絵を描くのが遅いため作業時間の制約を嫌ったり、写実的な絵画にするために重ね塗りが必要不可欠だったため、完全に乾いた壁の上にテンペラ画の技法で描いたそうです。

 

テンペラ画は、油絵と同じような描き方で、キャンバスや木の板に描く技法なので湿度や温度の変化に弱く壁画には向いておらず、当時食堂の壁に描かれていたこの絵は、湿度の高い気候のせいもあり、完成から20年足らずで剥離や劣化が進んでしまったのだそうです。

 

1900年代半ばに、ミラノが空爆に遭った際にこの絵が描かれた建物も半壊し、約3年間屋根が無い状態の時期があり、その期間にも激しく損傷を受け、元々の絵がほとんど失われている個所もあるそうです。

 

他にも、裏切り者に使われている青い色だけ他の弟子たちやキリストに使われているのと違う顔料であることや、修復前のキリストは口を閉じていたけれど修復してみるとキリストの口が開いていたことがわかった、など、修復前と修復後の絵の違いで興味深い話をたくさん聞かせてくださいました。

 

ここにある2枚の修復前と修復後の違いというのは、洗浄作業で表面に付着した汚れの除去と、レオナルドの時代以降に加筆された顔料の除去が行われたということでした。

顔料の科学的な解析など精密な作業だったため、20年以上の歳月を要したそうです。それも修復家の女性たった一人で作業されたそうです。

 

 

 

一通り案内され、説明を聞き終えた後で、同じ課程の卒業生であるガイドさんに、友達と二人で何かお話を聞いてみようと思い立ち、お忙しそうな所を呼び止めてお話をしてみました。

 

聞いてみると、その方は大学にパソコンが入るということで情報文化課程ができた年くらいに入学したそうで、「学席番号が90P~とかそのくらいだったんですよ」とおっしゃっていて、90年の初めに入学されたということは、私が生まれたくらいの頃から情報文化課程が存在していたということで、そんなに前からこの課程が存在していたということを初めて知りました。

 

普段は営業で、いろんな地域の学校や企業に美術館の宣伝をしに行ったりしているそうでした。

たまに、こんなふうに美術館で案内をしたりしているとのことで、普段から美術館のガイドとかをやっているわけではないのにあんなにたくさんのことをわかりやすく興味を持てるような説明ができるってすごいなぁと思いました。

 

学芸員の資格を持っていなくても美術館に勤めることはできるということを、この時に初めて知りました。

 

先生の話をしたり、美術館の話を聞いたり、他にも雑談をしたり、とても優しくお話をしてくださって、ほっこりしました。

 

 

その後は各自自由に館内を見学しました。

 

なにせ作品が大量でフロアが5つもあり、ひとつひとつの作品をじっくりみることはあまりできず、後でガイド本を見て「あ、これも見たかった!」というのがいくつもあるくらい、ほんとうにたくさんの作品が展示されていました。

 

そして、いつか原本の作品を本場で見てみたいなぁと思いました。

 

この美術館は、限りなく元本の作品に近いものがたくさん集められた、図録のような美術館でした。

 

こんな作品の本物が置いてある所は、どんな空気で、どんな環境で、どんな人達が生活しているのか、ということが気になるようになりました。

 

この美術館でいろんな作品を見たことをきっかけに、世界中の美術館に足を運びたくなり、名前の通り国際的な美術館だと思いました。

 

 

一通り館内を回ってシスティーナホールに戻ると、ちょうど上海万博の期間中だったので、万博会場と中継をしていて、何人かがカメラの前に並び、なにやら中国語で会話をしていました。

 

片口先生が後ろの方から中継中のカメラの写真を撮ったり、カメラに映るところに行こうとして脇にいたスタッフに止められていました。(笑)

 

 

美術館には、世界の名画陶板だけでなく、地域の小学生や中学生が描いた作品も、入口があるフロアに展示してありました。

 

美術の教免を取る身として、どんな基準でこういうところに展示する作品を選んでいるのかなぁと一通り眺めましたが、展示される以前の全ての作品も見ないとわからないなと思いました。

 

 

ミュージアムショップには縮小版の陶板が売ってあったり、世界の巨匠がフィギュアになったものが売ってあったり、名画が3Dで見れるようになっているものがあったり、様々な本が売ってあったりと、とても充実しているものでした。

 

後ろ髪を引かれつつ、3時間の滞在の後に美術館を後にしました。

 

美術館を出た後で、写真を撮るのが好きな友達と絵の写真の撮り方について談義したりしました。絵を写真の作品として撮るのは難しいねという結論で終わりました。そんなわけで撮影可でも数多く写真を撮れなかったため、載せられる画像が少なくなりました。すいません。

 

 

 

帰りのバスの中では、学生全員が旅行の感想や心に残った作品についてマイクで話して、島先生がひとりひとりにコメントをしてくださいました。

 

みんなの話を聞いていて、旅行に参加するのが2回目の人と初めての人でも視点や時間配分の取り方が違って、美術館は何回行ってもその度ごとに違う見え方がするものなのだということを知りました。

 

私は予習をせずに旅行に臨んだのですが、どの美術館がなにをコンセプトにして作品をどう展示しているのか下調べをし、見たい作品をおおまかに先に知った上で館内を回ったほうが、限られた時間を有効に使えたのにな、と後悔しました。

 

また来年も、お金と時間があったらこの旅行に参加したいなと思いました。

 

一人で物思いにふけりながら美術館巡りをするのも良いかもしれないけれど、同じ年代の美術を学んでいる人達といろんな作品を見て、それぞれが思ったことを聞けるのは、こういう機会じゃないとなかなかできないことだと思いました。

 

作品を見て疑問に思ったことをすぐ先生に質問したりできるのも、この旅行ならではだと思います。

 

先生と先輩と同級生と後輩と集団行動を共にして、旅先でいろんな人と出会い、いろんな地域を歩き、たくさんの感性に触れ、美術の勉強として美術館の在り方を考えたりするだけでなく、人としても、ものの見方を学んだり、大学生活の過ごし方を考えなおしたり…。

いろんな人の人生に触れ、自分の生き方をもっとしっかり考えて、就職活動に向けて、自分が何をしたいのか具体的に考えなければいけないなと思いました。

 

美術の教養を深めるだけでなく、自分にとってとても有意義な旅にすることができました。

 

約10時間のバス旅は、サービスエリアでの休憩もまた楽しめて意外と早く大学まで帰りつきました。

 

興味が沸いた人は来年の夏、旅行だけの参加もできるのでぜひ参加してみてください。

(今年は、4泊5日で参加費は5万円で、お釣りが数千円来ました。)

 

長い長い旅行記にお付き合いいただきありがとうございました!

 

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